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ロシアのオーウェル?プラトーノフ

Andrej Platonov, 1899-1951

プラトーノフの「ジャン」をたまたま読んだのですがなかなかおもしろかったです。「ジャン」のなかで、砂漠の貧者となり果てた民族の若者が語ります。

以下「ジャン(原卓也訳/集英社)」より引用。

彼女は息子に、何かをくれないかと頼んだ。もらえる当ても欲もなく、ただ、自分のところに品物がふえ、それによって生活の忙しさが増すよう、そのためにだけ、おずおずと頼んだのだった − そうすれば、人生の時間がもっと円滑に流れて行くからだ。

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だいたい一羽や二羽の鳥で、空腹がみたされるとでもいうのだろうか?そんなことはない。しかし、むしった一片の鳥肉をだれもがもらえば、彼らの悲しみは喜びに転じ得るのである。・・・・・そして彼らは自己の生存を思いだすのである。

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お前は永い間わしらに死ぬことを教えこんできた。わしらも今じゃすっかり慣れたから、みんなで一遍にやってきたんだよ。わしらがまた忘れちまわないうちに、みなが楽しんでいるうちに、早く死を与えてくれ!

(引用おわり)

これからも読みつがれていくにちがいない20世紀ソ連文学者のほとんどは、政治的いじめにあいました。ソルジェニーツィンしかり、ブルガーコフしかり、ザミャーチン・・。スターリンとも全体主義とも相容れなかったプラトーノフもその例外ではありません。

代表作のひとつでアンチユートピアをうたった「土台穴, 亀山郁夫訳, 国書刊行会, 1997 (Котлован/The Foundation Pit=建築現場の掘削基礎工事部分)」は1930年執筆に執筆されたものの、1969年ロンドンにて出版、1987年故国ロシアではじめて出版されました。

プラトーノフの翻訳は困難であるというハンディを乗り越え、いまでは「ロシアのジョージ・オーウェルか」とまで言われるほど欧米では注目をあびています。代表作には「チヴェングール(Чевенгур/1929)」などもあります。プラトーノフ作品のいくつかは日本語にも翻訳されています。いっぺん読んでみては?

(2003.02.17.)

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