EKAKINOKI

毛皮の帽子はおいしい?!

「毛皮の帽子はおいしいの・・?!」なんかおいしそうな気もする。う〜ん、、クセになる味かもしれない。そしてそんなうま味を知っているやつらがいる。

やつらといっても、1.5センチメートルぐらいの小さな薄茶色の蛾みたいなやつ。この蛾は親で、とうぜん卵を産む。卵がかえるとそいつらは幼虫になる。イモ虫だ。このひとたちが、毛皮のおいしい味を知っている・・。ニクイやつら!

毛皮 帽子

衣装タンスの中、洋服が吊ってある上に一段スペースがあって、そこがなんとなくいつも毛皮の帽子を置く場所になっていた。モスクワに着くと本格的に寒いので「さぁーて」と手を伸ばすとなにか様子がおかしい。帽子のまわりに毛がパラパラと散らばっている。ネコがいるのでその毛かとさいしょはおもった。毛をのけてみる。ところが、のけてものけてもあとからあとからでてくる。「なんだ・・、やだなー。」

そのうち手が毛皮の帽子にまでたどりついた。「なんだって、帽子にまでついてるんだ・・?」得体の知れない毛をすこしつまみとる。取っても取ってもまたでてくるじゃな〜い。なんとなく不穏な気配を感じ、帽子をそっと掴んでタンスから取り出した。

帽子についた毛を取っていくうちに、やがて帽子の一部が剥げてきた。「えっ?!」帽子をひっくりかえしてみる。「うわぉ〜〜〜」、帽子の底の縁の部分がぐるりと一周、砂みたいなものでうめつくされていた。「なんだこれは・・!!」ひんやりとした暗ーい気持ちになって、そのまま帽子を風呂場に持っていく。そしてその砂みたいなやつを除くと、、帽子の地の部分があらわになった。「おしまいだー。」

タンスにしまってあった毛皮の帽子はふたつとも、『みっともなくてかぶる気にならないぐらい』・・無残に食い尽くされていた。何年か前、ルーブルがまだ政府の決める公定レートで、いまの5倍の値段がしていたころに買ったものだ。ひじょうに高価だったのよ!

日本にだってセーターを食う虫はいる。高価なセーターだったら小さな穴をあけられただけで『脱力感』におそわれる。それでも彼等にはまだまだ『節操』というものがある。ロシアのはただひたすら『ワイルド』だ。ウールや毛だけではない。なめし皮なども獰猛に食い尽くしていくという。こいつらウォッカでも飲んでるのか!

昨年の冬に使って、そのままつっこんでおいたのがいけなかった。ふつうはタンスに防虫剤を入れておく。(伝統的には、ヨーロッパとおなじでミカンの皮とかラベンダーをつかう。)灯油をタンスに塗っておくなんていう、荒々しい防虫方法もソ連時代にはあったみたいだ。

羽毛の入ったダウン系の洋服は無傷だった。でも、またすぐに新しい帽子を買う気になんてなれず、おまわりに呼び止められる確率は高くなるが、今年の冬は毛糸の帽子で通した。

(2002.01.14. Moscow)(2002.08.08. 見直し)

※ 冬にとられた毛皮はモチがいいそうですが、いずれにしても永久のものではなくて、10〜15年ぐらいが一般的な寿命みたいです。

BBSより

旅行大好きさん

毛糸の帽子だと、なぜおまわりさんに呼び止められる確率が高くなるのですか?明らかに異邦人として、マークされるのでしょうか?それとも、風邪引くよと、と親切に注意されるとか!

えかきのき

マイナス20度ぐらいでも、毛糸の帽子でじゅうぶん。ただ風が吹いてくると、冷たいのが感じられてちょっとこころもとないけど・・。でも毛糸の帽子のほうが経済的で、おおげさでないし、学生だったらそれでふつうですが、あやしげなひとたちも愛用しているために、おまわりに呼び止められる確率が高くなるのです。とくに黒い毛糸の帽子は要注意!

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