EKAKINOKI

はちゃめちゃロシアをうけとめる

ロシアで電車に乗っていると、突然大きな声で『商品説明』がはじまることがあります(けっこう頻繁)。説明が終わると、次の駅にたどりつくまでに車内を一巡して商品を売ります。(つぎの駅までの乗車時間が長いところ、というのも計算に入れています。)

Photo by Денис Соловьев

売るものはひとそれぞれ。ノート、ボールペン、地図、本、雑誌、英語の教材、法律の一般向け解説書、ショール・・(透明の手袋も売れてたなぁ)。最近のきわめつけは、歯ブラシ。

ほんものかどうかはさておき、テレビなどで宣伝している某歯磨き粉会社の歯ブラシ。しかも(!)歯ブラシの能書きを説明しているのが、ところどころに歯のないおにいちゃん。(電車のなかで歯ブラシが売れるか?!)これが売れてた。次の駅にたどりつくまでに車内を一巡・・どころか欲しいひとがいっぱいいて、名乗りをあげたその場所から二三歩のところにまだとどまっていました。(歯磨きにとても関心があるということ?)

町中ではタクシーの値段交渉がかかせません。タクシーといっても、ほとんどが『白タク』です。近距離ならだいたいが30ルーブル(1ドル)ぐらいですが、ちょっと遠いとやりかた次第ですごくちがう。「ボリショイ劇場までいくら?」「100ルーブル!(3ドル強)」「気は確か?50ルーブルで行ってよ。」「あなたこそクレージーだよ。」という具合で、70ルーブルか、80ルーブルに決まればさいわい。相手まかせだと、150ルーブルぐらいはとられちゃう。値段が気に入らなきゃ、つぎのタクシーを待てばいい。

日常生活の場でもちょっとあたりを見回すと・・・働かないで仲間とブラブラしてる若い連中。酒を飲みはじめるととまらない弁護士。ひとの女に手を出してなぐられて歯のない近所のおにいちゃん。(このおにいちゃんのお友だちもやはり歯がない。)

一ヶ月400〜500ルーブル(17ドル)の年金が給付される社会で、100〜200ルーブルの劇場の平土間席(一階正面の観覧席)。コーヒー飲んで、焼き立ての菓子パン食べて、ふたりで300とか400ルーブルの喫茶店。一ヶ月50や60ドルもらうために毎朝出勤している女性たち。50年前仕様みたいな車がセコセコ走っている横をベンツやBMWがガンガン通り抜けていく町。(ちなみにキャビアが450ルーブル。)教師も医者もエンジニアも貧乏で、警察官が金持ちの国。

Photo by Денис Соловьев

公共の暖房まで切ってしまった極東地方ではなにを議論してるかというと・・『社会の基本的なサービス』を、しかつめらしく『ビジネス』にすり換えている。『ビジネス』として成り立つか成り立たないかの議論。そのうち欧米の投資がある・・とか??

みんながみんなじゃないが、ちょっと『ヘン』だ。『ヘン』どころじゃない。欧米の基準からすると、『渾沌』という以外ない。『これからなにをどう変革していかなくてはならないか』・・ロシアではもう何年もそんな議論が繰り返されてきた。

でも、汚職もルール無しの社会も、いっこうにかわる気配がみえない。『日本の経済破たん』が、何年もいっこうに収拾してないのとおなじだ。国の体質なんて、そんなに簡単にかわるもんじゃない。

最近では、『こういうのがロシア』なんじゃないか、とおもうようになってきた。帝政時代だってこんなんじゃなかったの・・?だからドストエフスキーやトルストイの文学がでてきたんじゃない・・?

『ロシアはこんなんじゃない』ではなくて・・『これがロシアなんだよ』。そう割り切って、すこしでもいい方向にもっていこうとするほうがより『建設的』だしおもしろい。社会のメカニズムができあがった国では『タクシーの値段交渉』はないし、『いいこと』だと明らかに分かっているのにできないことだってたくさんある。

若いひとたちはもうとっくにそんなふうに生きている。グダグダ不満なんかたれていない。ふつうさ、ふつうに働いている。

(2001.03.21.)(2002.08.25. 見直し)

かんれんファイル

■ 地下鉄車内で買った『生活便利手帖』
■ 「シベリアン・ドリーム」という本:ペレストロイカ〜エリツィン時代にかけて、地方都市ウラン・ウデとモスクワを行き来していた著者(モデル)のヴィヴィッドな思い出。

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