EKAKINOKI

X博士のイコン談義

X 博士とフリーマーケットをぶらりしながら

「イコンはどれも似ていて退屈」というひともいますが・・

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アレクセイ・クドライ作 1998年 32x27cm(リプニンスキー・コレクション)

「美しさは心でかんじる」というのは、イコンでもほかの美術作品でもまったくおなじです。えがかれている主題の意味が分からなくても、作品のもっている美しさは愉しめます。アーティストたちは、宗教上のさまざまなルールを乗り越えて創造性を発揮しています。

西欧の絵画でも、美術史について多少知識があれば極端な勘違いというのは少なくなります。しかしイコンとなると、日本ではちょっと遠い存在ですね。イコンそのものはだれでも知っていますが・・

その前に、どういうイコンの話をしているかな?にっこりとした優しそうな顔をしたマリア様のこと?でも、それはカソリックの影響をどっぷり受けたイコンです。正統派のマリアは、のっぺりしていて不機嫌そのものですよ。色使いも陰湿で暗い。アメリカのサイトで検索すると、うんざりするほどラテン的で陳腐なイコンが見つかります。およそイコンとは呼べない「ただの板絵」ですね。

正統派というのは、「ロシア正教の宗教画」ということですね。ロシア正教は、カソリックとなにがちがうのですか?

「神が地上に降りて来た」か、「人間が神になる」かのちがいです。「人間が神になる」ほうがロシア正教です。ロシア正教では、神は絶対的に美しいのですが、人間もその美しさの一部をなします。このちがいは、「西欧のアート」と「ロシアのアート」にもみられます。イコンは、古代エジプト文字に由来をもつ「線」が織りなす芸術です。そこに、言葉とイメージが融け合っているのです。(※)

せめてまがいものかそうでないかぐらいの区別がつくと、見ていてもうすこしおもしろくなるとおもうのですが、なにか初心者用のコツみたいなものはありますか?

まがいものは少ないと思います。ロシアにはあふれるほどありますから...。まずトレチャコフ美術館などで「本物」をしっかり見るということではないでしょうか?目がしっかりしてくれば、その辺で売っているイコンなどは、ばかばかしくて買う気がしなくなります。

「王道はナシ」ですか・・

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正統派のイコンというのは思いのほかに少ないのです。数十枚に一枚ぐらいかな..。登場人物の人数が多いほど、傾向としては、「品のない」イコンということになります。いろいろ見られて楽しそうですが、買わない方が無難です。すぐに飽きます。但し、内容を分かっていて買うのであればべつです。

ロシア人がお金に困って手放すのは、まず適当な聖人もの。「聖ジョルジュ」や「聖ニコラウス」は市場にあふれています。まあまあの絵柄も多い。「マリア」や「イエス」を描いたものはなかなか手放さない。かりに出回っているとしても、問題のあるイコンが多いです。

先生は、イコンのなにをためつすがめつしているのですか?

たとえば、「表面に絵の具の隆起が激しい」のは最近の量産品です。日本で言うと輸出用にさかんに作られた「薩摩焼き」みたいなもの。

「イコンの縁」は自然に削れていますか?下に布を貼った層がありますか?「表面」はなめるように繰り返し見ます。そうすると、最近の修復部分が見えてきます。手にとってずっしりと重いのは比較的新しいものです。古いものであればあるほど、木が乾燥していて思いの外に「軽い」のです。裏面には、湾曲を防止するための「はめ木」が2本しっかりついているかどうかも確認します。

日本の骨董と同じ。なんかひとつ苦労して買えば、かりにそれが大したものでなくても、次にイコンを見たときに、それより上か下か、一瞬で見分けがつくようになります。

買おっかな・・?!

気に入ったのがあったら買ったら..?!価値のあるイコンは、やはりそれなりの値段です。お土産として買うならせいぜい5万円以内、10万円以上のものを買うときは勉強をしてからにしたほうがいい。

A4サイズよりちょっと大きめの小振りなものが値段も手頃です。自宅にも飾りやすいしね。金属イコンにも、意外に魅力的なものがありますよ..。

2001.09.30

※ 文中(※)のパラグラフは、「Only beauty can save the world」John McEwen:「The Sunday Telegraph」( 1998.04.12.)を参考にしています。

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