EKAKINOKI

ロマジンの風景画

Nikolaj Romadin, 1903-1987

ロマジンは、ネステロフ(1862-1942)に見い出されました。「群像」などに意欲をもやしていたロマジンに、風景画でいくことをすすめたのはネステロフです。「そのほうが政治に翻弄されることなく画業をまっとうできる」、ネステロフはそうかんがえていました。 厳しい思想統制の時代を生き延びたロマジン本人の平衡感覚もさることながら、ネステロフの意見もまたある意味正解だったとおもいます。

ネステロフの作品「ロシアの大地にて/1914-16」(Tretyakov Gallery)

ロマジンは「自然が表情を変える瞬間」をとりわけ好んで描いていたフシがあります。「雨」、「嵐」、「秋にのしかかる冬」、「すこしすこし溶解していく冬」、「夜明け」、「残照」、「白夜」・・・。そうでないごくあたりまえの1風景であっても、じつはそこでも自然が微妙に表情をかえているのに気づかされます。

「べちゃべちゃな春」 / 1969年 / 個人所蔵

風景画は作家の心の鏡〜。風景を通して『心』 をえがきだすには、たえまなく息をしている 『心』 をそのままよどみなくさらっと描き出すだけの『技量』がなくてはなりません。

『技量』ばかりがのさばってもいけないし、またそれが『心』をかき乱してもいけない。 しかし『心』をすなおに描き出すだけの『技量』がなければそもそもおはなしになりません。

「ウンバ川」 / 1965年 / 個人所蔵

感覚を研ぎ澄ませて自然と一体になる。かといって、激昂する自然を前に『心』も台風では絵になりません。もちろん、印象派、ロマン派、、といった表現方法のちがいでもない。

たぶん・・・・・作家の卓越した『技量』と、風景を通して顕わされる『心』が保つ微妙なバランス・・・その両者の飽和点が高ければ高いほど、『すばらしい風景画』が生まれるのだとおもいます。

だから風景画に「すごい!」 というのはない。ニコライ・ロマジンが描く自然がふっと微笑んでいるように、いい絵はしずかに波打ってる、、なんておもうのですが、、、

(2003.01.17. 見直し)(2004.07.22. 「ロマジンとソ連時代の記憶」部分をべつファイル)(2005.07.29. 加筆)

ロマジンかんれんファイル

■ ロマジンの風景画・・・
■ パウストフスキー筆「風景画家ロマジン」
■ パウストフスキー筆「ロマジンの白夜」
■ 永遠の残照(マザッチョ/ロマジン)

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