EKAKINOKI

絵と恋の相関関係

ボリス・イオナイティス

K・ガヴリロヴァ著『現代ロシア作家小咄』より訳

彼はふたつのものに情熱を捧げた。絵と恋。あるいは恋と絵。どっちがサキかちょっと難しい。ふたつが解け合ってイオナイティス。どっちが欠けても成立しない。燃えるような恋が、創作意欲によって消滅してしまうこともあれば、創作活動によせる念いが恋にまでおよぶこともあった。

『色彩』−予期せぬ『色彩』の探究が彼の人生だ。「色は女性とおなじだよ。秘密が必要だ。入りくんでいて、あたりまえじゃなくて、二度と繰り返さない。愛し合うのがカンタンじゃないおんなみたいな・・」ほかのどの作家にもみられない方法で彼はそれを成し遂げている。

筆ではなくてペインティングナイフで、長いことパレット上で色を混ぜ合わせる。繰り返し繰り返し別の色を加えてはのばしていく。かとおもうと今度はなにやらまったく別の素材を試したりする。

キャンバスの上で色が響き合う具合いはすばらしい。まったく予期せぬ『色彩』の構築物が出来上がっていく。この瞬間のときめきに、彼は惹かれている。作品のひとつひとつが彼自身にとってさえ予知不可能な、未知への探究であり踏破だ。『色彩』が『美の泉』から湧きあがってくる。

イオナイティスの作品は、さながら宇宙の光と影のようにおもわれる。キャンバス上で、荒々しく、まるで生き物のように魔術的な色がうごめく。コンポジション、コントラスト、リズム、主題 ・・。そこにはただ『美』が支配している。そしてそれらは、『色彩』にたいする献身的なおもいと、感性と思索の円熟から生まれてくる。

イオナイティスは、だれも邪魔する者がいない夜に仕事をするのをとりわけ好む。何週間もアトリエにこもってとりつかれたように制作する。ボリスがアトリエと家のどっちにより気持ちがいっているかと、作家連中に聞いてみればいい。きっと、だれもがおなじように答える・・・

イオナイティス・ファイル

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