EKAKINOKI

モスクワに咲いたオルキデア

ルーマ・ダウローヴァ

ダウローヴァはウズベキスタン生まれ。最初は音楽家としての教育を受けた。父親はコンビナートの責任者だったが、ソ連邦が崩壊すると、一家ともども財産を放棄してロシアに戻った。

ダウローヴァはモスクワであらためて美術の道をあゆみはじめる。もっともいまにしておもえば、母親がクチュリエで、ダウローヴァは小さいころから、生地(きじ)とモデルに囲まれてスケッチをしていたという。あるとき美術評論家に評価されたのをきっかけに、画家として本格的に活動するようになった。

しかし、、、社会がいままでとはまったくベツの価値観でうごきはじめたからといって、そうカンタンに生き方なんてかえられるもんじゃない。そういう渾沌のなかで、ダウローヴァのように人並み以上の人生を切り開けるのはきわめて稀なケース。

ダウローヴァは、モスクワに来てからほとんどピアノに手をふれることがなかった。ギャラリーに招待されてロンドンに行ったとき、あるホテルのシックなロビーで日本人女性がピアノを弾いていた。演奏がひとくぎりしたとき、ダウローヴァは我慢できなくなってピアノに駆け寄る。

情緒あふれる音色がホールをつたい、ロビーはしずまりかえった。ダウローヴァが一曲弾きおわると、いっせいに拍手。ひとりのジェントルマンが立ち上がり、彼女の手にキスをして、曲の名をたずねた。ダウロヴァはほとんど英語が話せない。

「Russian Romance・・・」

ダウローヴァの作品はとても情熱的だとおもう。でも、すぐに飽きがくるたぐいの力まかせの情熱とはちがう。秘められた情熱・・・音楽的な頭脳が程よくたずなを引き締めているのかもしれない。

ダウローヴァの奔放な情感が流れをみつけたとき、ペインティング・ナイフがキャンバスのうえで舞いだし、すばらしい作品がうまれる。

(2005.01.22. 見回り)

※ 作品・・・ 「パッション / 80 x 90 cm /」。ダウローヴァ作品は、現在、ウィーン、スコットランド、ロンドンを中心に展示されている。

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