EKAKINOKI

デスクトップは景色 カーソルは地平線

まえおき・・・

ザンニは、ミラノで仕事をするウェブおよびソフトの若いデザイナー。絵を描き、さまざまなウェブ・プロジェクトを実現している。テーマはデスクトップに新しい風景画を創造すること。ザンニはこれを、「landscape」にからませて「mediascape」と呼んでいる。ちなみに、ドリーム・ウィーヴァー(ホーム・ページ作成ソフト)の仕事もしている。

インタビュー訳: ExibArtValentina Tanni06.04.2001.

これ↓を聴きながらつぎの一節を読んでみよう。

www.micromusic.net

「身の回りにあるいろいろなことがアートに反映されるのはごく自然のことだ。それでこそアートがいきいきとしてくる。昔のひとは宗教にかこまれて生活をしていたから、当然宗教的な主題をえがいた。宗教的な主題が、彼らの心に訴えかけたのだ。では、いまの時代は?いろいろなあたらしいものが発明され、地球全体が「スピード感」で溢れている。身近にあるこういう現実にこそ、アーティストはインスピレーションを得るべきじゃないか。」(1910年のマニフェスト誌:未来派より)

社会環境が変化すれば、アーティストの作品にもかならずその影響があらわれる。それはまた批評家を喚起し、あたらしいイマジネーションがアーティストの手によってうみだされる。未来派の場合、時代の「スピード感」がアーティストたちにうったえかけた。車、市街電車、飛行機、都市生活のあわただしさ。それまでは知られていなかったあたらしいテーマをアーティストたちがとりあげるようになった。

ポップ・アートは、消費文明の象徴ともいえるおしつけがましいギラギラした宣伝や商品を受け入れた。

「デジタル革命」もまた、ガヤガヤと入り込んできた一大社会変革だとわたしたちはかんじている。アーティストたちはいろいろな方面にわたって敏感な反応を示すから、当然のごとくそういう変化に応じたあたらしいデザインやシンボル、コンセプトを提起している。これは、社会の進んでいる方向をよりあきらかに理解するたすけになる。

ラップトップは窓。デスクトップは景色。カーサーは地平線。

コンピューターのスクリーンは、おもての景色を見るための入り口みたいなもの。そこからむこうには、さまざまなものがヒッチャカメッチャカからみあっていて、眼に見えるものも見えないもの、いりみだれて無限に続く小径がつづいている。

コンピューターというあたらしいコミュニケーションの手段は、わたしたちの現実の認識の仕方を変え、わたしたちの日常生活にいままでになかったあたらしい地平線を創り出した。

ザンニの仕事は、いまでは何百万というひとたちの日常生活の一部分となっているコンピューターのためのデザイン。テクノロジーにあおられた人間心理、社会心理はもはや以前のものとおなじではありえない。ザンニはこの変化を鋭くとらえ、わたしたちの時代にふさわしいあたらしい風景画、肖像画をコンピューター上に創り出している。

「ウェブ上で意味があるのは、変身、メール、ftp ログイン、ニックネーム、文字絵などを通した表現されたひとのメンタルな部分で、そのひとの現実の姿ではありません。これは、すでになんべんもくりかえし言われてきています。デスクトップ上に配置されたごくシンプルなグラフィック・アイコンだって、ひととなりをあらわしているでしょう?それは従来の肖像画以上に、的確にそのひとを表現しているかもしれないのです。」

Icons POP ? Post Office Protocol or/and/not Point Of Presence

古典的手法の絵画と、最先端のインターネット。このふたつは平行しているようで、密接に結びついている。ザンニは、このふたつの世界をまたいで仕事をしている。ザンニの大きい油彩画作品には、きわめてはっきりとした輪郭の、無人格なコンピューター・アイコンやソフトウェアーのロゴがえがかれている。そこにはマスメディアのどぎつい世界にたいする冷めた皮肉も込められているし、ありふれた日常をアートにしてしまう「ポップ・アート」もある。そしてこれは、変わりつつある社会のあたらしいイメージだ。

「どうしてこういう仕事をするようになったの?絵画からはじまったのよね?絵を描いていて、そこにコンピューター・テクノロジーの世界が入ってきたの?それともその逆?」「絵画にテクノロジーの要素をくわえようという傾向はあった。たとえば、ひとつの絵を分割してしまう。これはフレーム。蛍光色もつかったし、おたがいにぶつかりあうような色の組み合わせも。これは「rgb model vs. cymk」。目立つ部分はよけい強調し、そうでない部分をよけいに目立たなくする。これは少ない配色によるジフ・フォーマットとおなじ。すでにテクノロジーを感じさせるような表現手法だった。それからウェブに出会って、ビリビリっときた。いまは、どこのだれが見てもおなじにみえて、しかも長時間見ていられる、そんな作品描きたいんだ。フラット、イージー、景色。なぜかジョーンズのアメリカ国旗をおもいだしてしまう。」

「u_r」検索エンジンの探しあてたものがあんたさ。

ザンニのウェブ・・・

ザンニはハイ・テクノロジーでわたしたちの度胆を抜こうとはしない。ほかのネット・アートが多々にしてどぎつい超現実的なデザインをこれでもかと見せつけるのに反して、ザンニは余分なものを根こそぎ切り取って、必要最低限で済ます。しかしコンセプトは明瞭につたわってくる。ザンニは、彼自身のサイトを見事な「自画像」だと認めている。

www.zanni.org

検索と検索結果は「二つ折りの聖画像」。「検索することと検索結果」こそ、コンピューターを通して映しだされる自己のアイデンティティーだ、自画像だと、ザンニは考える。

ハードディスクを前にして「検索」をかけるのは、自分を鏡にうつしているのとおなじ。ハードディスクは毎日毎日わたしたちのアイデンティティーを蓄積していく。わたしたちの関心事を、仕事を、日常生活を記憶している、忠実な自分自身の証言者なのだ。

u_r
www.e-sm.org

「u_r」は現代版の肖像画だ。(pc + ie5+)e-sm.org は最新の心の鏡。メール かニックネームしか知らないひとがいったいどんなひとか知るのはあなたの眼で見てじゃない。コンピューターもハードディスクもおなじこと。つまり、だから「ハードディスク」イコール「あなた」ということになる。

Beg With Style
http://www.begwithstyle.com/

「Beg With Style」は「ニューエコノミー」の、からくも辛らつな現実からうまれた。このサイトは、社会の現実となった「イー・ルーザー(ウェブでの失敗者)」たちに、あらたなチャンスを世界のどこからでも受けられる機会を提供している。「新失敗者たち」は、失敗者となったそのおなじ「イー・コマース(ウェブ上でのビジネス)」のメカニズムを利用して施しを受けられるのだ。

My Happinesss
http://www.zanni.org/pagine/projects/myhappyness/myh.htm

ザンニの最新プロジェクト「My Happinesss」は検索エンジンを使ってしあわせになろうというもの。「Newiconomydiagrams」は、「ニューエコノミー」の辛らつな図式化。

「あなたのサイトはとってもシンプル。それとサイトをみていると、そのサイトが作られたコンセプトというのをひじょうにつよく意識するわ。どう?」「いや、そのとおり。ボク自身単純だからね。そんなにハイテクな人間じゃない。それにそんなハイテクをわざわざ使う必要もない。e-sm だってあるしね。ハイテクでローテクを実現するというのがいいな。」

(訳 2001.04.10.)

ザンニ推薦のサイト

free software project
the designers republic
jon Haddock
ora ito

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