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サヴィーニのゴムでできた造形物

展評訳: Exibart / Paola Capata 02.07.2001.

Maurizio Saviniマウリッツィオ・サヴィーニについては、いろいろなことが書かれている。彼の作品から漂うあまったるい匂いは、幼いころのことや学校にあった机、青春時代を想起させる。

その匂いは、挑発的なピンク色とあいまって、柔らかさと弾力性とやさしさをかもしだす。ついつい触りたくなる。それで遊んでみたくなる。噛んだらどうなんだろう..、とおもってしまう。

サヴィーニが、チューインガムのように役に立たない素材を使って、絵を描くためのキャンバスがわりにしたり、造形物を制作するようになって久しい。20グラムにも満たない軽くてちいさな素材をつかって、細部にいたるまで手のこんだ仕事をする。あるときはものすごくかかとの高いハイヒールであったり、ボールの雨であったりと、そこにはアイロニーとあそびの感覚が溢れている。

Maurizio Savini役に立たない、廃棄されるのを待つだけの素材を、サヴィーニは「スマシた」絵や造形物にしてしまう。あそびのある芸術、芸術的なあそび。断っておくが、サヴィーニの作品はすこしも「スマシて」いない。これ見よがしの「スノッブさ」はない。サヴィーニの絵もそうだが、とりわけ造形物には、ただ一回の展示会のためだけに数カ月かけてねんいりに制作された、作品の完成度の高さがある。

現実の生活のなかでは見向きもされない素材を、愉快な "おもちゃ" にする、魅惑的でかぐわしいピンク色の「お菓子」にしてしまうことにサヴィーニは魅力をかんじている。サヴィーニの展示会は、ローマのちいさなギャラリー「Il Segno(=印:しるし)」で7月20日までもよおされている。「Years From Now(今からの時間)」と称された、絵と造形物の興味深い展示だ。

Maurizio Savini実物大の男がなにやら「殻」のようなもののなかから覗き見ている。腕と視線は宙空に向けられている。これも、もちろんチューインガムで作られている。単純なおもしろさだけではなく、「不安」、「焦燥」といったものが、この作品には同居している。

「Years From Now」という展示会のタイトルを、大学教授でパンク・グループ(Bad Religion)で歌うグレグ・ギャフィンの詩からサヴィーニは引用した。「Years From Now」の「Now」は、すでになにかが終わったあとの「結末」ではない。よく言われるように、「今」のなかにはかならず「過去」が含まれている。

この展示会をオーガナイズしたチェチリア・カソラーティがカタログのなかでふれている。「今から(From Now)」という言葉はワケありげですが、過去にとらわれずに未来に向かっていく、というふっきれたおもいと緊張感がこめられているのでは・・・」

(訳 2001.07.03.)

※ 展示会は、「Maurizio Savini, Years From Now」 Roma, Galleria il Segno (Via Capolecase 4)〜2001.07.20.

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