EKAKINOKI

イタリアの文化行政にもこんな問題がある

評訳: Exibart Alfredo Sigolo 2000.05.21.

Italy culture新政府の文化省大臣にメランドリが再任された。メランドリが押し進めてきたプロジェクトと成果が国民に認められ、さらにその改革をおし進めていくことになる。メランドリは前任者によって打ち出されたいくつかの改革案を実現化し、それなりの成果をあげ、文化省内改革をも積極的に行っている。こうした現行進行中の路線にたいして、メランドリは確信とその継続を表明している。

(1)文化事業をよりひろい意味でとらえ、文化財の再評価を行う。古い条例は適宜修正排除し、より積極的に文化財を活かした文化事業をすすめていく。

(2)『新ウフィツィ構想』『グラン・ブレラ構想』などの新しいプロジェクト。

(3)ポンペイにおけるような、民間の企画にたいする政府サイドの積極的な協力。

(4)学校教育においては、自国文化にたいする知識を深め、実際の仕事に役立つ実践的学校教育の実現にむけて教育省との協力。

メランドリがかかげた以上の計画のうち、いくつかはすでに日の目をみている。たとえば・・

『若年層の博物館・美術館訪問について』・・25才以下の割り引き料金。開館時間の引き延ばし。学生・新卒層にたいしては、パートタイムというかたちでの美術館就労も認めた。

『歴史的文化遺産』の分野にメス・・『歴史的芸術作品の運送および契約』などの事務処理において国際基準を適用。この分野に君臨している旧弊きわまりない老人たちを説得したのは評価される。

将来にむけて、メランドリはさらにいっそう野心的な抱負をもっている。

(5)若い人々の芸術活動にたいする助成。
(6)現代建築の『文化財』としての管理・維持・発展。
(7)ミラノ3年祭やローマ4年祭のような大企画展の開催。
(8)文化行政における州・県レベルでの自治。

『ネット』という言葉がつかわれているように、相互協力によって、個人、各種組織、行政区単位における、より斬新で機敏なプロジェクトが期待できるとメランドリは考えている。

複雑な課題が山盛りだが、メランドリは比較的明るく寛容な雰囲気のなかで仕事ができている。なによりも、国の歴史的財産から最大の恩恵を受けているのはイタリア国民で、芸術はイタリアにとって収入源だということを国民はよく理解している。

また一方で、いままでの文化財管理事業団体には、あまりにも効率の悪さがあった。イタリア政府がこれ以上、このような形態の事業団体に資金をつぎこむべきでないのは誰の目にも明らかだった。一般民間組織を指導し、事業団体所有作品の民間による買い付けをも、メランドリは積極的に行った。果てしない議論の連続と、なすすべもなかった状況のなかで、このことはおおいに評価されてしかるべきだとおもう。

さて、文化省が実際にかかわっていることのなかから争点となる2点について、すこし意見を述べてみたい。

イタリア文化財の等級分けと目録づくり

メランドリ本人が明らかにしているように、この問題はきわめて複雑にもつれていて、解きほどくのが容易ではない。

まず、文化財として承認されるためには非常に複雑きわまりないプロセスを経なければならず、長い時間を要する。それを一気に短時間で処理しようというのはほとんど不可能であると言わざるをえない。承認手続きをより柔軟でスピード化しようという計画は、いままでにもいくたびか試みられてきたが(文化財の時代を限定し、保護助成を受けられるものだけに限ってみても・・)、いまだはるか遠きにある観はまぬがれない。

むしろこの際、「長年にわたって構築されてきた文化財等級分けの複雑きわまりないプロセスを省略するのはムリ」という事実を公にし、ひらきなおったほうがいい。なぜなら、作品にたいする厳正な管理、国外への不法な譲渡・盗難を予防するために、長年にわたって蓄積されてきた煩雑きわまりない手続きのなかにこそ、イタリアの歴史的文化財を保護・管理するための現実的かつ有効な知恵があるとおもうからだ。

急がれる教会との合意

Italy culture「世界芸術遺産のうち60パーセントがイタリアにある」というユネスコ統計は有名だが、そのうちのかなりの部分を教会が占めている。

ところが教会側には、文化財の保護・管理に従事できる近代的な専門機関、企画、人間が十分でない。しかもそういった教会の多くが郊外に位置しているという現実は、盗難と消失の危機に身をさらしているようなものだと言うほかない。

詳しいことは不明だが、教会アーカイヴの保護・管理にかんしては文化省と教会のあいだにすでに合意が成立していると言う。メランドリのこうした迅速さは評価するにしても、教会の歴史的財産そのものについても同様の喚起をうながしたいところ。(聖なる対象は、歴史的・芸術的価値もさることながら、けっして失うことのできない信仰の対象でもある。)

大学の教育改革

『実社会で役立つ知識の習得』と『就業』の2点に関しては、あまり明るい展望がないのは周知の事実。文化省と教育省のさらなる協力と話し合いがのぞまれる。

※ ファイル中の画像:(上)文化相メランドリ (下)レオナルド・ダ・ヴィンチの手帖

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(2000.05. 訳)(2001.09.23. 点検)(2003.11.09. 点検)

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