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文豪たちのイタリア遍歴と絵画

展評訳: ExibArtA.L.  10.04.2001.

Genova2001年7月には「G8」が、2004年には「ヨーロッパの文化首都祭」がジェノヴァで開催される。ジェノヴァはいま国際的な息吹きに包まれている。そんななか、「イタリアを遍歴した文豪とイタリアの芸術作品を通して過去5世紀間のイタリアを顧みる」という、今年注目の展示会のひとつがはじまった。

展示会場となっているパラッツォ・ドゥカーレの庭園には、ゲーテが感激したと言われるレモンとザクロが植えられ、かつての栄光を再現する工事がはじめられている。展示会はパラッツォ・ドゥカーレの地下に、総計1.5キロメートルにわたってえんえんとつらなる。

キュレーター(学芸員)ジュセッペ・メルチェーナロ、ピエーロ・ボラージナの演出は、映画監督さながら。展示会場の基調色は黒。歴史に残る肖像画がライトアップされ、いままさにそれらの作品が描かれたかのような錯覚にとらわれる。観客は、当時の文豪がイタリアを旅行しているような気分になる。劇的な効果・・・まさに「トリップ」だ。

Genova1500年代から1900年代にかけて、旅行家、文豪、回想録作家、アーティストがイタリアを訪問し、そのときの印象を書き残し、絵画に描き、印刷物として出版された。

フランドルの画家たちにとって、ジェノヴァは格別魅力的に映ったようだ。ルーベンス(1577-1640)、ヴァン・ダイク(1599-1641)は、ジェノヴァのフランドル人コミュニティーの世話になりながら長逗留している。

モンテスキューは、とりわけトリーノ、ミラノ、ボローニャの国家権力と経済に関心をよせていたが、芸術にたいしても無関心ではなかった。ボローニャで、グイード・レーニ、フランチャ、カラッチ一派に深い関心を抱いている。

サド公爵は、フィレンツェ、ローマで亡命生活をつづけた。彼は、イタリアで教会建築に深い関心をいだき、『芸術目録』さながらの詳細な記録を残している。この記録から、サド公爵がカラヴァッジョ、ドメニキーノ、グイード・レーニに感銘していたことがわかる。

Genovaゲーテは、ローマで活気に満ちたドイツ人社会に迎えられた。そののち、ナポリ、シチリアへ赴く。ゲーテはナポリでたくさんの知識人と知り合う。英国大使で著明な火山学者だったハミルトン公とその美しい婦人。ナポリ宮廷画家フィリップ・ハカートが描くナポリの風景は、地中海世界そのものの印象としてゲーテの心に残った。ゲーテにとっての南イタリアは、ヴェスヴィオ火山の驚異と多種な植物が繁茂しているエキゾチックな世界だったようだ。

フランス革命でローマに亡命していた貴族シャトーブリアン(1768-1848 政治家・文学者)は、ナポレオン時代に外交官としてのキャリアーを築いた。のちローマでフランス大使となるが、一方で、アントニオ・カノヴァ(彫刻家)のアトリエに通っては政略謀略の世界での疲れを癒していた。

ジェノヴァはまた、バイロン、フローベール、ディケンズをももてなした。ディケンズはここに長期間逗留し、そのときの印象をいくつかの物語りにしている。

ヘンリー・ジェイムズ(1843-1916 作家)はフィレンツェに行き、ティツィアーノ、ボッティチェッリに関心を寄せた。「婦人の肖像画」はフィレンツェが舞台になっている。そののち、ロバート・ブロウニング(1812-89 イギリスの詩人)とおなじようにヴェネツィアに移り、ベッリーニ、ティントレット、ヴェロネーゼ、カルパッチョと、ヴェネツィア絵画に没頭した。

マルセル・プルースト(1871-1922)がやはりヴェネツィアで、カルパッチョに心を奪われている。

このほか外国人訪問者の目に映ったルネサンス時代の宮廷、ヴェネツィア共和国、メディチ家のフィレンツェ、スタンダールのナポリ、ヴィンケルマン(1717-68 ドイツの美術史家)のローマ、シェリー(1792-1822 詩人)のレーリチ・・・

展示会は、当時のイタリア社会、文化、生活をほうふつさせ、鑑賞者をイタリア500年の旅にいざなう。

レオナルド・ダ・ヴィンチの直筆、ジョルジョーネの肖像画、タッソーの「イェルサレム解放」初版本、プサンの風景画、ヴェロネーゼ、ティントレット、ティツィアーノ12作品、ターナー10作品(そのなかにはジェノヴァを描いたものもある)、ラファエッロ2作品、ミケランジェロのデッサン3作品、カノヴァの彫刻5作品、ゴヤのイタリア・スケッチ、ヴェラスケス、ルーベンス、ブロンツィーノ、ポントルモ、グイード・レーニ、カラヴァッジョ、ドメニキーノほか・・・・・作品は100を越えるイタリアの美術館、80の海外美術館からあつめられた。

(訳 2001.04.14.)(2004.11.07. 見回り)

※ 展示会は、絵画、彫刻、直筆、稀本など800点。ジェノヴァ パラッツォ・ドゥカーレ(Palazzo Ducale) 〜2001年7月29日(7月17〜22日は「G8」に開放され一般公開は無し。)
http://www.palazzoducale.genova.it/

※ ファイル中の画像: ポントルモ、ジョルジョーネ、ティツィアーノ、ハカート。

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