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パラッツォ・グラッシの「宇宙展」

カナル・グランデのなかでも魅力的な建物のひとつパラッツォ・グラッシ(ヴェネツィア)は、建築家ジョルジョ・マッサーリによって18世紀に建てられた。ゴヤ、デ・キリコからキーファーにいたるまで、『アートが無限を発見するまで』という壮大なテーマのもとに美術史を再構成した『宇宙展』が催されている。

展評訳: Exibart / Christiana Margiacchi 2000.02.29.

Palazzo Grassi 『宇宙展』は、パリのピカソ美術館館長ジャン・クレール、カナダ・ボザール美術館館長ピエール・テベルジュ等によって実現された。テベルジュは、今展示会の原形となっている『宇宙展 ロマンチズムからアヴァンギャルドまで(1999年)』を、モントリオールのボザール美術館で見た。これに感銘を受けたテベルジュは、テーマの特色をさらに強調し、200におよぶ作品が展示された前回以上の『宇宙展』にしたいとおもっている。

ロマンチズムからアヴァンギャルド、カスパー・ダーヴィド・フリードリヒからアンセルム・キーフャー、ターナーからフォンタナ・・・美術200年の歴史を、アートが『空間のあり方』にたいして傾けた情熱を介して紹介している。美術史の探訪であるとともに、近代アートがいかに感覚を研ぎすましてきたかを実感することができる。展示会場はかなりリラックスした雰囲気。

『光のユートピア』

『光のユートピア』と名づけられた『石膏の間』がまずあり、ブレ、ルド、シンケル、ヴォドワイェのデッサン、水彩、建築関係の作品が展示されている。『自然と宇宙』と名づけられた最初の7部門はさらにふたつに区分され、『崇高さと無限へのおもい』では、フリードリッヒの『夕暮れの景色と人物(左写真参照)』ターナーの『海獣と夜明け』カルスの『湖の日没』、ジョン・マルタンが展示されている。『パノラマの誕生』では、ゴヤ、ジョン・ノウ、キャスパー・ウォルフ、ルイ・ボニエ、ルドンのリトグラフ『眼、無限にむかう奇怪なボール(1982)』。

『約束された大地』

つづいてのセクションはアメリカ人作家の『約束された大地』。『崇高であることが美しい』という、当時のアメリカのメッセージが伝わってくる。ハンボルトの影響を受けたアメリカの偉大な風景画家たち、チャーチの暗示的な『コトパクシ・エクアドル』、モラン、コールの『日没の十字架』。衰退と汚職にまみれた旧世界とくらべて、新世界アメリカは新しいエデンの園だという自負にささえられていた。ちょっと地形学的なレリーフをおもわせる。北極に魅せられた写真家、北極探検家たちを描いた作品などがある。

Palazzo Grassi『地球のむこうには月』

『地球のむこうには月』では、、メリエからヴェルヌ、ポール・ドゥルヴォーからガリレオ・ガリレイの望鏡、NASA、宇宙遊泳にいたるまで、よりわたくしたちの日常に近いものとなっている。

『宇宙論からのインスピレーション』

『宇宙論からのインスピレーション』で2階部分はおわっている。イタリア未来派(バッラ、フィッリア、プランポリーニ、ミーノ・デッレ・シーテ)からロシア・シュプレマティズム(カンディンスキー、リシツキー、クリウン)にいたるまで、『重力の法則』から解き放れた美術表現。スゥイフトがおもいえがいた浮遊する島ラピュータは、マレーヴィッチ、クルティコフが描いた宙に浮いた町、トラウトのクリスタルの町によって現実のものとなっっている。

6メートル、3メートル四方はある『カバコフの部屋』では、『宇宙に飛出した男』と題された作品があり、近づいていくと、自分がちょっと前に終ったイヴェントの観客になっているのを見るといったぐあい。『30年代−きら星』では、ピカソ、ブランクーシ、ミロ、『30年代−シュールレアリストの空』では、ジョルジョ・デ・キリコ、アルベルト・サヴィーニ、レネ・マグリット。これでこのセクションはおしまい。

『宇宙開闢』『無限へ』

『宇宙開闢』では、フォンタナの『神は死んだ』、クライン。『無限へ』では、スミス、カルミス、このセクションのいきづまったところには、4メートル、3メートル四方ぐらいのインスタレーション、セガルの『ヤコブの夢』がある。大広間には、8メートルにおよぶパルミジャーノの『八つの星を運ぶ船(1994)』があって、展示会のしめくくりを示している。

かんれんファイル

■ カスパー・ダーヴィド・フリードリヒ
■ マレーヴィッチ
■ フォンタナ
■ レネ・マグリット
■ カバコフ
■ シュプレマティズムについて

かんれんサイト

パラッツォ・グラッシ(Palazzo Grassi:ヴェネツィア)
http://www.palazzograssi.it/
展示会:2000年3月26日〜7月23日

(2000.02. 訳)(2003.11.07. 見直し)

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