EKAKINOKI

自然のなかの色・色のなかの自然

展評訳(学芸員クリスティアーナ・アンドレアーニとともに)
Exibart / Cristiana Margiacchi 2000.05.30.

color nature「わたくしたちは色に囲まれて生活しているわけですが、自然の色についてはわからないことだらけです。」

花や蝶のまえにたたずんではみとれ、パスタを前にして目のいろをかえ、愛するサーカーチームの色に執着する。目の前にひろがる色彩に感動し、そのなかに深い意味を読む。そんなとき、どうしてなのか、などといちいち自問はしない。

展示会では、色のうまれる過程、自然と色との関係、人間と色の関係、色のもつ意味などが理解できるようになっている。

「この企画は3年前に、純粋に科学的な目的をもってはじまりました。3ヶ月前、それをもうすこし一般向けのする展示にしようということになったのです。準備期間もあまりなく、大変な仕事でしたが、ともかくいいものにしたいという、ただその気持ちだけでどうにか実現しました。」

鉱物博物館のポッジ教授によると、「鉱物は、その組成、不純物、構造の欠陥によってさまざまに色が変化する。あおっぽい銅があったり、石英がまったく別の色であってもいいわけだ。赤、黄、青、金色がかった灰色が石のなかにつくられ、湿度、酸素の度合い、光の具合によって、鉱物はその色彩と色調を変化させる。」

展示では・・宝石にはじまり、さまざまな色の花、動物が目の前に繰り広げられる。まるでひとの手でデザインされたかのような昆虫、蝶、その他の小動物。その小さなからだを、完璧なまでに幾何学模様がおおい、蝶の羽根などはまるで金細工のようだ。

「みて!このバッタ、スゴイ。色彩のことは、分かっているようなつもりになっているけれど、本当はよく見ていないのだわ。自然はたくさんのものを隠している。」

動物の世界は、色がじつにあざやかだ。「たいがい、オスがメスより色あざやかで、それがオスの性的魅力につながっています。『擬態』という自己防衛の意味もあります。ある種の無害な動物がとつぜん凶暴な姿に変身し、捕食者をこわがらせて危機をのがれる、想像できますか?」

color nature人間は色とどんな関係をもっているのですか?

「人間はコミュニケーションのために、おたがいを識別するために、古代教会の壁の図柄にあるような色をつかってきました。また、権力、戦争、差別、誘惑など、特殊な文化的シンボルをもなしていますよね。

文化的シンボルとして、色がもっている意味は文明によってちがいます。わたくしたちヨーロッパ人にとって、黒は『死』と結びついていますが、アフリカに行けば『死』を連想させるのは白です。白はわたくしたちにとって『純潔』ですね。赤は『血』への連想からか、どこでもたいがい『戦争』と結びついています。

色でおたがいに識別しあっていたというのは、昔のつづれ織りをみれば明らかです。町ごとに紋章があって、個別のデザインと色彩をもっています。応援するサーカーチームと敵方のチームとを見分けるのとおなじですね。」

残念ながら人間はそれだけにとどまらなかった。肌の色や服装による差別・・じつはおなじあなのムジナで、ただ強調されている部分が違うということだけなのに。

わたしたちの人生における選択というのもかなり『色』に左右されているのでしょうか?「そうともいえます。」・・!そりゃそうだ。

真っ赤なパスタソースを目の前に差し出されれば、だれだって食欲をそそられずにはおかない。ふだんは意識していないけれども、色彩のない世界なんてのは考えられない。それはそれは淋しいものだろうし、滅入ってしまうだろう。

マルゲリータ(ピザの種類)や真っ赤な風船、ショーウィンドウのなかの赤いセーター、すこしは許して尊敬を払ってやろうじゃないか。

※ 展示会・・・ 2000年5月20日〜(フィレンツェ大学・自然史博物館、主催)フィレンェ、 Palazzo Pazzi Ammannati, Borgo degli Albizi 28. 月、水、金:10時-19時 木:20時-23時 土、日:10時-13時 火曜日:休館日 Info.0552757402

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