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超高額絵画はオンラインで売れなかった

ARTNET 高額絵画から撤退

評訳: The Art Newspaper / Cristina Ruiz

彼等は最初「必ずうまくいく。」と言っていた。ハンス・ヌエンドルフ氏は元アート・ディーラーで、国際アート・フェアー(1967年ケルンが最初)創設者のひとり。ウェブ上での高額絵画販売に確信をもち、1999年3月、彼のウェブサイト上でアート・オークションをはじめた。

その『Artnet』は、アート情報のほか、ギャラリーやアーティストを結ぶネットワークとして、また過去のオークション結果をデータベースとしてもっている。ブルーチップの美術作品をオンライン上で販売した最初のウェブサイトでもある。

それから2年と経たずして、『Artnet』は経費削減にのりだした。『人員削減』と『販売効率』を重視した商品えらび。オンラインでの絵画販売をやめ、版画と写真に集中していく。この効率化のために18人が職を失った(会社全体の17パーセント)。ヌエンドルフ氏によると、「これで、1100万ドル(12億円)にのぼる年間操業赤字が今年上半期で解消できる。」と言う。

1999年、最初のセールは、ウォーホル、シャガール、リキテンシュタインで、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、シンガポールから引き合いがあった。イタリア人アーティスト、ルーチョ・フォンタナの切り裂かれたキャンバスは16万8千ドル(1850万円ほど)の値をつけ、ネット上で売られたもっとも高額な作品として、いまだに引き合いに出される。

『オンラインだ。さもなきゃのりおくれるぜ。』という強烈なメッセージをディーラーやオークション・ハウスに送りつづけ、『Artnet』はアートの分野で先頭に躍り出た。ハイクラスのギャラリーを取り込み、現時点で『1178作品』を紹介。

そのあとにやってくるのが、ヴェンチャー・キャピタルに支持されたインターネット熱とアメリカ経済の好調。一晩で何百というアート・サイトが出現した。そして昨年4月のナスダックのクラッシュ。VCファンドの獲得が困難になり、ほんの数カ月前に生まれたばかりのサイトが消えていった。オークション・ハウスや小売業のヴェンチャー「sothebys.amazon.com」もそのなかに含まれている。

5万ドル(550万円)以上の高額作品はインターネットでは販売ができなかった。実際に作品をたしかめず、インターネットで高額な購入することにバイヤーが気乗りしなかった。ベストセラーは、写真、版画、近現代のデザイン画、収集品。『Artnet』の経理責任者グレース・シャルクウィックはこう語る。「ほとんどの収入は版画と写真によるものです。オークションでのトップも版画。ウォーホルの『Campbell Soup』が6万4千ドル(700万円)、ピカソの『Faune devoilant une famme』は4万6千ドル(500万円)で売れました。」

『Artnet』におこったことは、けっして例外的なことではない。生き延びたアート・サイトは、今作戦を練り直している。オンライン美術市場そのものが自己調整をしている、と言っていい。一方で、美術品・収集品にたいする需要は増えつづけている。インターネットのマーケティング会社ジュピター・コミュニケーションによると、2000年は3億ドル(330億円)、2005年には18億ドル(1980億円)の需要がアート市場で見込まれるという。ただ、『正確にどの価格帯の商品なのか』という疑問に対する答えはまだない。

300のオークション・ハウスと650のギャラリーをリンクで結ぶ『Icollector』も、『サイトのシェイプアップ』と『ビジネスの特化』を今年はじめにも実現していく計画だ。『Icollector』の主要株主バーナード・アーノルトは、豪華商品製造の世界最大手メーカー『LVMH』の会長であり、ハイクラスのオークション・ハウス『Phillips』のオーナーでもある。アーノルト氏とこの『LVMH』との関係にもかかわらず、『Icollector』は当初から中間価格帯に的を絞ってきた。

『Icollector』のオークション専門家マイルス・バートンによると、「もっとも売れ行きの良い商品のひとつが『近現代の版画』です。ふつうのひとがピカソのような有名アーティストの作品を購入するとなると、やはり版画が現実的。それだと、『Icollector』をとおしての平均価格は4千ドル(44万円)ぐらいです。」

マリリン・モンローの死の2週間前に、ハリウッドの写真家バート・スターンが撮った10枚の写真が、1月7日〜15日のあいだ『Icollector』で提供される。写真は一組としてオークションにかけられ、9〜11万ドル(1100万円)の価格が予想される。英国のミュージシャン、エルトン・ジョンが関心を示しているそうだ。

インターネット上で高額絵画の販売をしようとしたヌエンドルフ氏の計画はうまくいかなかった。そのかわり、ディーラーやオークション・ハウスに幅広い顧客のデータベースを提供することができた。

『Artnet』の経理責任者グレース・シャルクウィック氏:「インターネットが、ギャラリーやディーラーにユニークなビジネス・チャンスをもたらしてくれるという確信にかわりはありません。高額作品を扱っているギャラリーは、『Artnet』のネットワークを、オークション、オンラインショップという『目的』としてよりも、むしろ便利な『手段』として利用しているとおもいます。」

© The Art Newspaper


(2001.01.12. 訳)(2002.09.15. 点検)

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