EKAKINOKI

"チャイナ・シャドー"

ふつうでない帰郷・・・

Shadow of China/監督・柳町光男/1990年/日=米

ジョン・ローン(John Lone)出演作品のなかでもっとも印象に残った作品のひとつが、『チャイナ・シャドー』だった。共演しているのは佐藤浩市、ヴィヴィアン・ウー。原作は西木正明氏の『スネーク・ヘッド』だそうだ。「ジョン・ローンはカッコイイがなんだかよく分からない」といった意見が巷では多いみたい。

Shadow of China毛沢東死去の場面から、映画ははじまる。中国文化大革命のころ・・・

バリバリの紅衛兵だった主人公(名前はわすれた)は恋人(ヴィヴィアン・ウー)とともに香港へ脱出する。(ところでなんで中国から脱出したの・・?内ゲバ?)

罪状を書かれた札を首につけて街じゅうを引きずり廻されるひとたちを横目に、ふたりはともかく香港に逃げついた。

しかし国境警備隊に捕まってふたりはわかれわかれになる。そして何年かのち・・・主人公は成功した実業家、恋人はどこかのホールで歌っている。

あるとき、主人公はある秘密クラブに入会を認められる。どういう秘密クラブかというと・・・共産主義国家中国の変革を願っている中国愛国者たちの、しかも香港の大物たちだけの秘密クラブ。中国にとっても香港にとっても政治的に微妙な組織だから、秘密クラブ。

肝心なのは、主人公が香港の実力者たちに認められたということ、そして、ほんとうに中国を愛し、中国を変えていこうという意志がある愛国者として認められたということ。

ところがある日、主人公にとんでもないことが起きる・・・

主人公の父親がじつは日本人で、元日本軍の諜報員だったというのだ。主人公自身は知らなかったにしても、「日本軍の諜報員=中国への侵略者」であり、愛国主義的中国人実業家たちにがほっておけるモンダイではなかった。

主人公は命を狙われ、香港から脱出せざるをえなくなった。金はあるしやり手だし、アメリカでもフランスでもどこへでも行ってまたやり直せばいい。主人公は、テーブルの上にならべられたいくつかのパスポートをみつめる。

そして決心した行き先が・・・

中国!

中国人名の偽造パスポートを手にいれ、一銭も持たず、アヒルが行列している田舎の国境検問所にたどりついた主人公は、国境まで車で送ってくれた友人(佐藤浩市)に笑いながらこう言い放った。

「もうひとつの革命がそのうち中国で見られるよ。(・・・主人公が起こすという意味。たぶん、いまの中国に近いような変化をイミしてた、、?)」

このラスト・シーンは強烈だった。

ミハイル・ブルガーコフの戯曲に、ソ連時代、上演ストップがかかっていた『帰郷(1926-28)』というのがある。そのなかに、ロシア革命後トルコのコンスタンチノーポリに亡命したロシア人がでてきて、帰れば銃殺されるにきまっている元将軍がロシアに帰ろうとしたりする。

縁もゆかりもない異郷の地で、じぶんの社会的イミを失った元将軍の望郷の念と、『チャイナ・シャドー』の主人公のケースとはまるでチガウかもしれない。それにどちらもフィクションだ・・・

しかしそういうことが考えられるか考えられないか、その温度差が、たとえばソ連崩壊後のロシアと、いまの中国、戦後日本経済の復興とのチガイにもなってるんじゃない、、?な〜んて、チラッとおもう。。

(2002.05.14.)(2003.02.25. 書き改め)(2005.01.31. 見回り)

かんれんサイト

ニコーレ・ヴィヴィアン・ウー紹介
http://www.cinemaparisien.com/dinner_rus..

かんれんファイル

■ シャガールとブルガーコフ
■ ブルガーコフ「帰郷」のスターリン評価

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