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ひまわり

ヴォットーリオ・デ・シーカ監督 / 主演: マルチェッロ・マストロヤンニ, ソフィア・ローレン / 1970年 / イタリア

ひまわりロシアに出征して行方不明になった夫(マルチェッロ・マストロヤンニ)を、妻(ソフィア・ローレン)がイタリアからロシアまで探しに行く。夫は、生きていた。だけど、なぜかなぜか、ふたりはふたたび結びつくことはなかった・・そんなおはなし。

『ひまわり』という映画が印象に残っているのにはいくつかの理由がある。まず・・

たった一度かぎりの出逢いや出来事、そういうのが、あとでおもい返してみると数えきれないほどあって、また、だからといって、あとでなにをしようとおもっても、もはやなにもうごくことがない。そんな一期一会が淡々とえがかれていて、『大人の映画』だなとおもった。

もうひとつは・・ジブンを出しすぎるんだよなぁ、とおもうことがけっこうあるマストロヤンニが、運命に翻弄され、不精ヒゲをはやしたオジサン役を演じきっていた。ぜんぜんべつの映画だけれど、『ファミリー・ビジネス(1989年/米)』で、ふだんは頭がいい役を演じることが多いダスティン・ホフマンが、なにかあると手のほうが先に出てしまう労働者のオヤジ役をやっていた。あれも名演だった。なんか、似ている。

さらに・・イタリアとロシア、どちらかの現実風景、ニンゲンが滑稽にえがかれるということもなく、なかなかリアルに描写されていたとおもう。マストロヤンニまでが、イタリアにいるときはイタリア人のように、ロシアに住みついてからはロシア人のように振舞っていたのはオミゴト!そのほかそのほか・・

ソフィア・ローレンがモスクワにやって来て、外務省を訪ねていく道すがら、向かい側から歩いて来た数人の男が彼女にぶつかり、押しのけるようにして通り過ぎていった。ソフィア・ローレンは「イテッッー」と、ふくれっつらをして言うのだけれど・・あれなども、イタリアではかんがえられないロシア人の無骨さを、ロケ中にデ・シーカ監督がアドリブで取り入れたんじゃない?

地下鉄の駅はヴァラビヨーヴィ丘駅?ヴァラビヨーヴィ丘駅は地下鉄なんだけど、そこだけ半分川に張り出したような形で地上に出ていて、すごく景色がいいの。すぐそばのヴァラビヨーヴィ丘は、新婚カップルがそこで写真を撮ったりする名所。もしそうなら・・ソ連政府自慢の駅だったんだね。一時封鎖されていたけど、再建されて去年ぐらいから復活してる。

新築アパートにひとびとがいっせいに引っ越す場面なんて、ソ連時代はほんとにあんなふうだったんだろうね。まるで建築現場みたいにヤンヤヤンヤで、笑っちゃう。ロシアの雪原で死にかけていたマストロヤンニを救い、ロシアでのマストロヤンニのかわいい奥さん役をやっていたリュドミーラ・サヴェリャーエヴァ、いまどうしてるのかな・・?

(2003.10.07.)

※ ファイル中の画像はヴェルネット作品(部分)

※ 「マストロヤンニがロシアから戻らなかったの、ぜんぜんフシギじゃないよ。ソフィア・ローレンよりサヴェリャーエヴァ(ロシア人妻)のほうがずっとかわいいもん。」・・・・どっかでこんなことを言ってたひとがいた。ナットク。。

2回目にみたとき笑った・・

モスクワで夫をさがしていたソフィア・ローレンが、どっかの工場から出てきたイタリア人らしき男のあとをつける。地下鉄のエスカレーターをおりたところで、「あんたイタリア人やね・・・?」と問う。もちろん、男がイタリア語を理解できるかどうかはわからない。男がさいごに観念してイタリア語で答えた瞬間、、イタリアにいるときのあっけらかんとした表情がパッとソフィア・ローレンに戻る。「Di dove sei?(どっからきたの?)−イタリア人の挨拶がわりの問いかけ」

もうひとつは・・・・・ソフィア・ローレンが、ほかの男ともうけた息子にアントニオと名づけた。「ぼくとおなじなまえにしたんだ、、(マストロヤンニ)」「ノー、聖アントニオのアントニオよ(ソフィア・ローレン)」。もちろん元恋人とおなじなまえをつけたのにちがいない。そして、どのアントニオもたしかに聖アントニオからとったにはちがいない。でも、あまりにもあたりまえすぎる返答が、むしろおかしい。(←セツメイするの、ムツカシイ。)

(2004.08.21.)

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