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藤沢道郎著 「物語 イタリアの歴史」

ふじさわ・みちお 1933-2001

藤沢道郎イタリアの歴史をこんなにも優しく(字ちがいじゃないよ)書いてある本って、あまり知らない。なによりすばらしいのは、藤沢さんの筆からイタリアの空気がつたわってくること。。これはイタリアを書くうえでぜったい欠かせない。

一巻二巻、両方ともおもしろい。しいて言えば、2巻目のほうが、エピソードと史実のバランスがスッキリしていて読みやすかった。一巻目も、しかし後半になるほど語り手の軽快感は増してくる。

イタリアの歴史と言えばその大半が、ヨーロッパ諸国をまじえての内輪もめゴチャゴチャ史・・・ダレとダレが組んで、あるいはその力関係を利用してダレがのさばったとか、、宗派同士の血に血を塗るつぶし合いもけっきょくは権力争いで、、イタリア半島が統一されて絶対的パワーが出現するなんてどれだけ教皇庁がのぞんでいなかったとか・・・それでも藤沢さんはかなりわかりやすく書いている。

しかしそれ以外にもおもしろいものはたくさんある・・・

現在のミサの原型やグレゴリウス聖歌をつくった教皇グレゴリウスとはこんなひとだったのかぁ、、「アベラールとエロイーズ」のアベラールにパリまで教えを受けに行った過激派宗教家がイタリアにいたんだぁ、、ミケランジェロやメディチ家についてはまるで知り合いのことでもはなしているかのよう、、享楽のかぎりを尽くした18世紀のヴェネツィア、、

イタリア統一にいたるまでのひとびとの表情、、そのおもいをかきたてるヴェルディ歌曲への絶叫、「VIVA VERDI !(ヴィヴァ ヴェルディ)」=「VIVA Vittorio Emanuele re d'Italia(ヴィヴァ イタリア国王ヴィットリオ・エマヌエレ!)」、だったとは、、しらなかった〜。

藤沢さん、生前は桃山学院大学で教授されてて、イタリア史、イタリア文学、わけてもイタリア現代史にすごく関心がいっていたみたい。ざっと著書をみると・・・

「イタリア・マルクス主義研究(1976/現代の理論社)」 「アントニオ・グラムシ(1979/すくらむ社)」 「ファシズムの誕生(1987/中央公論社)」

現代イタリアの民衆運動・・・ これって、イタリアをマジに知ろうとおもったら避けて通れないテーマであると同時にわかりにくいテーマでもある。でも、藤沢さんが書いたものであれば、マトを得た、おもしろい解説であるかもしれない。

(2005.04.17.)

「物語 イタリアの歴史」

Vol1(中公新書ワイド版)・・・・皇女ガラ・プラキディア、女伯マティルデ、聖者フランチェスコ、皇帝フェデリーコ、作家ボッカチオ、銀行家コジモ・デ・メディチ、彫刻家ミケランジェロ、国王ヴィットリオ・アメデーオ、司書カサノーヴァ、作曲家ヴェルディ。

Vol2(中公新書)・・・・皇帝ハドリアヌスの物語、大教皇グレゴリウス、マローツィア夫人とその息子たち、異端者アルナルド、教皇ボニファティウス8世、ロレンツォ・デ・メディチ、航海者コロンボ、画家カラヴァッジョ。

かんれんファイル

■ ミケランジェロさんこう本

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