EKAKINOKI

フラクタル・アートってなに?

『Fantastic Cosmos in Deterministic Chaos (決定論的カオスの幻想宇宙) 』のフラクタル・アーティスト成瀬氏へのメール・インタビュー

http://www.hm.h555.net/~fcic-mugen-ucyu/

Fractal art成瀬さんはフラクタル・アートのソフトまで制作されましたが、どういう経緯でフラクタル・アートに出会われたのですか?

小さなパソコンでマンデルブロ集合の画を初めて描いてから、10年になります。PC98と本をまる写しのDOSベーシックプログラムでした。出会いとしか言えません。未知なるものへの憧れです。

ソフトの公開もしました。ごく私的なソフトを誰にでも使えるものに書き換えるわけです。大変な苦労がありました。現在いくつかのヴァージョンが世界にでまわっています。かなりの希望者がありましたが、いざ使ってみると、習熟は困難を極めたようです。

「あるパターンが何回か繰り返されると、その結果できあがったものは、たんなる繰り返しの合計ではなく、まったくべつの存在物になってしまう。」フラクタルのこの部分の説明はとても印象的です。でも、パターンが反復されるだけで、なぜ姿まで変わってしまうのでしょう?

自然界は階層構造で成り立っていて、階層ごとにちがったルールが成立しているようです。例えば、遺伝子DNAを構成しているのは4つの塩基だそうですが、塩基をどんなに調べても遺伝子のルールは出てきません。でも、遺伝子は塩基のルールだけから構成され、ありとあらゆる生物を産みました。そして、遺伝子のルールは塩基のルールではありません。生き物も遺伝子のルールだけでは説明できません。

そうすると・・フラクタル・アートとは、数学的な『シコミ』をしておいて、反復の結果でてくる予期せぬ『カタチ』を愉しむということでしょうか?

Fractal art近いかも知れません。ただし、いかに予期せぬ魅力的な形が現れたとしても、同じ手順を踏めば、誰でも全く同じ結果が得られます。

現れた形がいかに魅力的でも、それだけで「作品だ。」とは、私は呼びたくありません。膨大なデータの中からあるひとつの場面を選び出すことも、ひとつの表現かもしれません。(本当に膨大です。)けれども、出会いから得たインスピレーションをより鮮明にするために、さらには私の思いを重ねるために、様々な演出をします。

色は自由に変更しますし、いくつかのデータを重ねることもします。その他出来ることは何でも試みます。そしてまた悩みが増えます。自分のしていることは正しいのだろうか?ただ恣意に流れ、自己満足しているだけなのではないか?純粋な観察者でありたいとも思う。広大なフラクタル宇宙を旅しながら、感動した風景の素直な報告者たりえたい。作品とは何か?表現とは何か?今も悩み思索を続けています。

フラクタル・アート制作の仕組みというのは、具体的にどうなっているのでしょう?

フラクタルの作画には二つの手法があります。

(1) あるパターンを定義して(例えばかわいい花柄など)、それを希望のアルゴリズムで再帰計算して、複雑で大きな画を構築する。デザインの世界ではかなり盛んに使用されています。映画にも..。山や地形。さまざまなテクスチャー生成。また、無数の鳥が飛び交う場面なども、いかにも自然っぽく見えますね。この種のフラクタルは、おしなべて規則どうりで、カオスとか予測不可能性とかの問題は出てこないみたいです。

(2) 複素関数の再帰計算でフラクタルデータを生成し、それを色に置き換え画にする。厳格なルール付け。アルゴリズムと繰り返し計算から得られたデータのみを用いた表現。

(2)が私の方法です。つまり、恣意による作画は極力避けます。創造が何処で起こるのかというと、「不純物の混入」です。

Fractal art不純物の混入?

シリコンの超高純度の結晶にごく僅かの不純物を混入して、素晴らしい特性の半導体を作るそうです。フラクタルは決して自然とは一致していません。自然の秘密は<不純物>だと確信しています。絶妙です。

数学的な「シコミの段階」で微量の不純物を混入します。これは重要です。手法は様々です。理屈ではなく、いろいろ試して私の目に面白いとうつったものを採用します。

不純物を混入するということは、作意にはならないのですか?

作意です。あまりに作意です!不確定性原理ではないけれど、「見る」ことが即「乱す」ことであるなら、データから作品への段階でも様々に不純物は混入してきます。充分恣意であり恣意でない。常に「ボーダー」ということを思っています。時には遊びで奔放に恣意。時には厳格にデータを尊重。いずれの場合も、目で見て表現する以上、自分が混入してきます。

今後の抱負は?

「今日の淵から明日の淵へどうして飛び越えようか、、、、」たしか、ヒメネスの詩にこんなのがありました。

私の作品の一つの傾向として、メルヒェンがあります。一見童話ふうだけど深い意味がある。よくよく見るととてもこわいものさえある。アンデルセンがそうでした。日本では宮沢賢治の世界と空間が好きです。しばらくはこの方向を追求していこうと思っています。

(2001.07.07.)(2003.11.21. 点検)

※ 成瀬さんの御好意でHPより画像を掲載しています。上から順に『Fortress of Loki』『Mist/Janet Parke Preslar氏(The Infinite Fractal Loopのリーダーのひとり)の絶賛を受けた作品』『Beyond the Dimention』

「The Infinite Fractal Loop」は、世界最大のフラクタルアーティスト・グループ。入会には審査があり、成瀬氏の『Flight From Fractal』が日本初のメンバー。現在(2001.07.)、日本からは3サイトが参加。

http://www.fractalus.com/ifl/

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