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なかなかやるじゃんイタリアの展示会

町全体を展示会場にしてしまうという企画。道路ぎわ、教会の壁、カフェのわき、アーケード、住居のプロムナード、公園、学校、建物の壁・・町のなかのどこに制作しても基本的に構わない。参加するアーティストは、あらかじめ町じゅうを歩き回って、自分の作品を設置する場所をえらぶ。彫刻、絵画、インスタレーション、きわめて自由なアーティストの表現が町をうめる。

Italy exhibition

Daniele Miola "Dama Celeste" (空から舞いおりてきた婦人)

なんとも愉快な展示会。作品のなかにはいたずらで壊されるものもある。あるいは笑ってしまうような例もある。「シニョーラ、そこに鉄の○△があったはずだけど、知らない?」「あぁ、門のわきにあったやつ?ゴミ・ステーションに捨てたけど..。」なにか気持ちがわからないわけでもない..。

展示会は、トリノ近郊ランツォという丘の上の町でおこなわれた。(主催:Circolo Artisti Delle Valli Di Lnazo)展示期間が終了すると、すべての作家が作品をすぐに引き上げるわけではない。かりに100人のアーティストが参加したら、50人はすぐに作品を引き上げる。30人はそれからしばらくたって、ぼちぼちと引き上げていく。あとの20人は作品をずっとそのままにしたままだ。

Italy exhibition

Laura Pugno "Banco del Pesce" (魚屋さん)

そうやって残された作品は、町の風景の一部分となる。次の年に参加するアーティストたちは、そういう風景にインスピレーションを得ながら制作する。これといってなにもなかった殺風景な町が、おもってもいなかったあたらしい表情をもって年々生まれ変わっていく。実際このランツォのような町の例が自然発生的にほかにもあって、イタリアじゅうから観光客が訪れる。なにもなかった殺風景な町に!

もうひとつは、アーティストが、自分のアトリエを一年に一日だけ一般に公開するという企画。

90人余りのトリノ市内および近郊在住のアーティストが参加。今年は5月2日から5月20日、17時から22時まで。多い日で8人、少ない日でも3人の画家がそれぞれのアトリエを開放し、一般のひとが自由に訪問できる。「A」という画家のアトリエを訪問できるのは、したがってこの期間中の、あらかじめ決められた一日だけということになる。

Italy exhibition

Elisabetta Viarengo Miniotti のアトリエ
http://www.eviarengominiotti.com/

「アペルト・トリノ」となずけられたこの企画のオーガナイザーは、画家で医者のアンジェラ・カレッラ・ベンルーポ。メキシコで10年ぐらい前に、ウィーンで5年ぐらい前におなじ企画がこころみられた。それに共感したアンジェラが、ウィーンでの企画を研究、トリノで実施しはじめたのが昨年。

作家とじかに話ができるだけでなく、制作現場の雰囲気を味わえる。なかには作品が気に入って購入するひともいる。いいことずくめ。しかもこの企画は一般のひとたちにとってすてきなだけではなく、当のアーティストにとっても、ふだん会う機会のないひとたちと、作品を前にコミュニケーションできるのでたのしい。この日を楽しみに制作に励むアーティストもいる。

日本だと陶芸家のアトリエをおとずれるという機会は、結構あるかもしれない。でも画家となると、ちょっと遠い存在。ましてやそれが高名な画家のアトリエだったら..。そんなギャップをさらっと拭い去る、とてもオープンでたのしい企画。

この日おとずれた作家のアトリエは、ふつうの住居の一部。中庭のテラスでは、テーブルのうえにたっくさんの前菜が..。もちろん、こちらもたのしませていただきました。(こういう場面もまれにあるという例ですので..、念のため。)

かんれんサイト

ランツォでの野外展オーガナイザー
http://www.webartisti.com/

(2001.05.24. Moscow)

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