EKAKINOKI

抽象あっての具象画

Nino Aimone

ニーノ・アイモーネのアトリエをたずねた。アイモーネは山の中に住んでいる。山の中ったって、都心から車で40〜50分ぐらいのとこ。牛糞が道のあっちにべったんこっちにべったん。

スロープのある庭には、アーティチョークがすでに花目をもっていた。こういうところで芸術活動をするのは理想的、、にみえてじつはカンタンじゃない。

自然はすばらしいが、、なにも刺激がないところで、だれもかれもがじぶんを発奮させられるとはかぎらない。ニンゲンって、どうしても周囲から受ける刺激に支えられて生きている部分がある。

田舎屋造りの家に入るとすぐが応接間・・・年代ものっぽいアイモーネの作品がポツリ、ポツリと置かれていた。

おなじ色の四角のマスはけっして隣あわせにならない。さらに、配色、構成、さまざまな考察がここにはなされている。アイモーネは、造形物においてもおなじようなことを試みてきた。

Nino Aimone Nino Aimone Nino Aimone

oil-canvas, 180x180cm, 1980 / a part of #1 / water-color, 40x37cm, 1981

けど、こういう作品ってなんなんだろう、、?

色彩とその幾何学構成が予期せぬ世界をみちびく?それとも、、色彩の神秘を謎解いてそれを支配しようというのだろうか?いずれにしても底辺には、ヨーロッパ人の論理性と、色彩にたいする神秘主義があるにちがいない。かつてカンディンスキーが「色彩論」で書いたみたいな。

しばらく雑談して2階にあがる。採光がすばらしくよいアトリエには、アイモーネの比較的あたらしい作品がところ狭しと置かれていた。緻密に計算されたそれまでの作品は姿を消し、あざやかな色彩による、より大胆な抽象表現(カラーフィールドみたいな)が主流だ。

色彩のかげんが、どことなくポントルモを思い起こさせる。するとアイモーネ・・・「ポントルモ、、って言った?アルアル、、そういうの。いま見せるから。」

すると、男3人がかりで、5メートル四方はあるかとおもえるバカでかい作品を奥のほうから引きずり出してきた。

な〜んとそれはモロ具象画!だった。

アフリカのハーレムでなければ天国の庭先のちっちゃなプールで、白人の女と黒人の女が何人か戯れている。デフォルメはされているが、生まれたまんま以上のあられもない姿。透明感があるレモン色、薄みどり色、、水浴している女たちはいまにも飛んでってしまいそうなぐらい軽やかなタッチで、いやらしさはまったくない。

「なぜかしらないけど、こういうのを描きたくなるんだ。。恥ずかしいからあまりひとには見せないけどね。」

その作品には、美術のさまざまな歴史が読み取れた。ポントルモ、ベッリーニ、ラファエッロ、ジュリオ・ロマーノ、パルミジャーノ、ヴェロネーゼ、マティス、、、

もちろんアイモーネが意識してそうしたのではなく、緻密な色彩世界の構成に心を捧げた画家のさいごっ屁みたいに、この作品はごく自然に生まれてきた。

それにしてもこの具象画は、アイモーネのどの抽象作品よりも強烈な印象を心に投げかけてきた。「まるで、、ポントルモが、アブストラクトの歴史を飛び越えて現代に再現されたみたい、、」

すると、同席していたほかのアーティストが即座にこう言い放った・・・「いや、アブストラクトの歴史がなかったらこの絵は生まれてこなかった!」

(2001.08.05.)(2005.02.10. 見回り)

かんれんサイト

アイモーネがいる村に、カゾラーティ家の別荘兼美術館がある。フェリーチェ・カゾラーティはイタリアの著明画家。息子フランチェスコ・カゾラーティも画家でアイモーネの友人。ともに芸大で教えていた。

Felice Casorati(1883-1963)
http://www.artinvest2000.com/casorati_felice.htm
Francesco Casorati
http://www.arte2000.net/ARTISTI/Casorati/ita/home_ITA.htm

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