EKAKINOKI

宇宙物理学者の絵筆

Silvia Vernetto

「宇宙物理学」といっても、具体的になにをしているの?

「プロトン」という高エネルギー宇宙線の研究。この宇宙線は遠い過去から地球にそそいでいて、その起源についてはよくわかっていません。いったいどこからこの物質が放射されているのかを、知ろうというの。

高地で「プロトン」を捕獲するのも仕事のひとつ。そんな場所が、ボリヴィアのラ・パスに近い標高5200メートルのアンデス山中と、標高4300メートルのチベット。標高が低くなればなるほど「プロトン」が吸収されて、捕獲量が少なくなります。

絵筆をもつようになったきっかけは?

ずいぶん前のこと、学生時代からだわ。クラシック、印象派といった1800年代の作家の模写をしながら独学。さいしょは印象派みたいな絵をかいていたわ。もっぱら油彩でね。それからしばらく描かなかったりした時期があって、1995年に、アクリルと出会った。

パッとあかりが射したような気持ちでした。アクリルのもつ陽気さと、いきいきとしたかんじ。いまにも溢れ出てきそうな色彩。「コレダ!」とおもった。それからアクリルにのめり込んで、スタイルがまるで変わりました。

日本に2度来ていると言ったけど、どうだった?

料理はとてもおいしいし、魅力的な国。でも、日本人のある面はどうにも理解に苦しむ。たとえば電車に乗っているとき、ぜったいにひとのことを見ない。まるで、私があたかも存在していないかのよう。私には非人間的にさえかんじられる。

日本人とも一緒に仕事をしたことがあるけれど、表情がないの。なにを考えているのか、まったくわからない。紳士ヨ。でも、満足しているのかしていないのかさえ、分からないということばかりだった。

絵を描くのと研究所での仕事がうまい具合に刺激し合ってる?

いまいちばんの問題は、絵を描く時間が少ないこと。研究所での仕事は好きよ。でも、ものすごく頭を疲れさせる計算とかしなくてはならないこともある。研究所から帰ってくると、疲れていて、絵筆をもつ気にもなれない。それでもときどき描くことがあるわ。また次の日につづけて描くわけだけれど、なにかチガウ。

描き上げるまでその世界にひたっていたいの。ウィークエンドとかバカンスにはおもいきり没頭するわ。でもバカンスには旅行にも行きたいし..。絵がもっと評価されるようになったら、いまの仕事をやめて絵に専念したいわ。

ところでよく作品にでてくるあのすてきなネコはどこにいるの?

ここにはいないの。仕事でひんぱんに旅行にでたりしなくてはならないでしょう..。だから描くの。

ヴェルネットのファイル

□ 宇宙物理学者の絵筆(インタビュー)
■ ヴェルネット、モノローグ

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